クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

「フツー不安じゃね? 海外だぞ? どこぞの美女と何かしてても気づかねーじゃん」

「美女と何か……って、」


はぁ!?
どこぞの美女って、どこの美女だ!
何かしててもって、ナ二なんだ!

って、普通の婚約者なら怒るだろうけど……
あいにく、私たちは形だけの婚約なんだよねぇ。

私に興味が出た、と先輩が言ってくれても、まだまだ一方通行の片思いには変わりない。

もし先輩がナニかしてても、怒る資格、私にはないよ。


「丸西、どした?」

「あ、ううん……、わっ」


突然、窓からぴゅぅと風が入って来る。

すると私の髪がふわりと浮き、首が露わになった。と同時に、笹岡がある事に気付く。


「首、蚊に刺されたのか?」

「ううん。刺されてないよ?」

「え、じゃあ、それって……」

「?」


教室に入る直前。笹岡は周りをキョロキョロして、私の耳に近づいた。


「それって、キスマーク?」