わたしは、大した人間じゃない。
いつも麗仁くんに助けられてばかりいるし、高価なものもプレゼントできない。
わたしは麗仁くんを支えられているだろうかと、そう思っては自信をなくすことの多い日ばかり。
仁科さんは、そんなわたしの気持ちを見透かすように、一つ頷く。
『貴女は飛鳥馬様にとって、かけがえのないお方です。どうかご自分を卑下することなく、胸を張っていただきたいのです』
普段は感情の読めないその目に光が滲み、そう、わたしに語りかける仁科さんの言葉が聞こえた。
【本当にありがとうございます】
わたしは仁科さんの書いた文字の下にそう紡ぎ、紙を向こう側に寄せ深く頭を下げた。
𓆸 𓆸
‐真人side‐
「ねえ真人」
唐突に名前を呼ばれ、俺は今日の業務の報告書を書いていた手を止めた。
「どうされましたか、飛鳥馬様」
「お前、あやちゃんと会った?」
その鋭い指摘に、俺は焦りを悟られないよう表情筋を固め、「いえ」と否定する。
嘘だ。本当は2日前に、七瀬様とお会いしている。



