飛鳥馬様の鋭い眼光がこちらに向けられる。
しかし俺は悪くない。そんなことは自分の頭で考えろ。
腹の底に忍ばせた俺の感情に気づいたのだろう、飛鳥馬様は自嘲気味に笑って、最後は自信のなさそうな暗い影を目元に落とした。
俺はそんな主を見て思う。
どうしてそこまで悩む必要があるのだろうか。
七瀬様も、飛鳥馬様も。
飛鳥馬様は七瀬様からのサプライズなら何でも喜ばれそうなものだし、七瀬様も飛鳥馬様からのプレゼントならば何でも喜ばれると思うけれど。
まったく、恋人というものはよく分からない。
「……はあ」
生まれてこの方、女っ気の一つもない真人は、解せない恋愛事情に小さくため息を吐くのだった。
𓆸 𓆸
七月も残りあと数日で、少しずつ真夏の熱気が近づくのを感じる今日この頃。
わたしは真人さんから電話で指定された喫茶店の隅っこで、緊張のせいか冷や汗をかいていた。
約束の時間まではまだ時間がある。
さっき注文したオレンジジュースは気づいたら氷だけになっていて、無意識に全部飲んでいたことに今気づく。



