なのに、君は───
いつも、おれの心をたやすくさらっていく。
君への恋心が、どんどんどんどん、歯止めも知らずふくらんでいく。
𓆸 𓆸
コンコン。
部屋の扉の向こうから、戸を叩く音が聞こえてくる。
彩夏だ……!
おれは高鳴る鼓動を抑えながら平静を装って扉に近づき、ゆっくりとドアノブを回す。
すると、物凄い勢いで背丈の小さな女の子が廊下から部屋の中へ飛び込んできた。
「っわ!!」
おれは予期せぬ事態にびっくりして押し倒されるようにして床にしりもちをついてしまう。
「きゃっ……」
一瞬のことで何がなんだか分からなかったけれど、とにかく彩夏を守らないとという一心で彼女の後頭部に手を回し、上手く受け身をとったおかげで痛みはあまり感じなかった。
「あやかっ!大丈夫か!?」
「っ、びっくりしたあ~」
「……、それおれのセリフな」
彩夏に怪我がなくてよかったとほっとする気持ちと、どうしてあんな風に部屋の中に飛び込んできたんだと責めたくなる気持ちの狭間で感情が揺れる。
だけど、いつも天秤が下に傾くのは、好きな女の子を思うやさしい気持ちだ。



