わたしが我慢できなかったから、深く考えもしないで外に出たから、麗仁くんに迷惑がかかってしまった。
そして、結果麗仁くんに酷い言葉を吐いてしまった。
“怖い”
その言葉は、そこまで威力のないものに思えるけれど、前髪に隠れた麗仁くんの顔は酷く苦しそうで、その漆黒の目は悲しみに沈んでいる。
「……っ、ごめ、ん。ごめん、麗仁くん」
わたしはばっと顔をあげて麗仁くんに頭を下げる。
突然の出来事に驚いたとはいえ、わたしは今一番言ってはいけないことを吐いたのだ。わたしを助けてくれた麗仁くんに対して、よくあんな酷い言葉を言えたものだ。
一向に返事がないことに胸の中で不安が募っていく。
恐る恐る麗仁くんを見上げても、その麗しい顔は前髪に隠れて影を落とし、よく見えない。
「……あやちゃん。おれ、変わりたいよ。本当は、ずっとそう思ってる」
その声は空気を震わすこともなく、力無げに響いた。酷く小さな声だったけれど、その言葉は何も漏らすことなくわたしの耳に届く。
「麗仁くん……」
わたしは目を大きく見開かせて、言葉を詰まらせる。
「あやちゃんの隣にいるおれは、優しいおれでいたい。この街のことだって、何とかしたい。今のままじゃダメだって、分かってる」



