でも、こればかりはわたしも……。
「……っ、麗仁くん、ごめんなさい。わたし、合コンっていうのがどういうものなのか、知らずにいて……。それで麗仁くんのこと傷つけた。
ほんとうに、ごめんね……っ」
強いばかりじゃない、わたしの大切な人。
いつだってその瞳に表しきれないほどの弱さを宿していて、目を離したらすぐにどこかへ消えていなくなってしまいそうな、そんな「何か」が麗仁くんにはある。
儚さ、弱さ、強さ、優しさ。
甘えたなところ、一途なところ、何よりわたしを大切に大事に思ってくれる。
「……あやちゃん。おれ、やっぱりまだあやちゃんを誰かにとられるのが怖いみたい」
そう弱音を吐き出して、小さく笑う麗仁くんは。
夕焼け色のこの世界で、1番輝いて見えた。
まだ闇色に覆われていない世界に、麗仁くんがいる。
わたしの生きる太陽の世界に、麗仁くんが恐れずに突き進んできてくれるのがどうしようもなく嬉しい。
「っふふ、わたしも同じだよ、麗仁くん!」
そう言って、わたしたちは暗い路地ではなく、西日が煌々と照りつける歩道を2人手を繋いで同じ場所目指して歩き出す。
麗仁くんの体温がわたしの手を通して伝わった時。
もう思い出せないはずの“記憶”が、わたしたちの歩く道を照らす夕日のように鮮明に蘇ってくる。



