冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】



「……っ、麗仁くん、やめて!!」



わたしがそう叫んだのと、麗仁くんが男の顔を殴打したのは同時だった。

わたしの声に、麗仁くんの肩がピクリと動く。


男は顔を殴られて、歯が折れたのか口から血を流している。
痛そうに歪められた顔には恐怖のみが残っていた。


「あやちゃん、だめだよ。まだ、少しも罰を与えられていない。こーいう奴はね、馬鹿だから躾してあげないとまた同じ過ちを繰り返すんだよ」


わたしを振り返って言った麗仁くんの目は、ひとつの光も宿っていなかった。思わず底の見えない真っ暗闇に吸い込まれそうになる。


いつも優しい麗仁くんしか知らないわたしは、手を赤く染め鋭い眼光の麗仁くんを前に言葉に詰まる。


───やだ、やだよ。
こんなに怖い麗仁くん、見たくない。


わたしのために人を痛めつける麗仁くんを見るのは、自分が傷つけられるよりも胸が痛んだ。


麗仁くんはわたしから視線を逸らして、地面に横たわる男に目を落とす。


そして、何度も何度も気が済むまで男を殴る暴力の音がわたしの耳にこだました。