「……っご、ごめんなさいっ」
わたしは相手の顔も見ないまま顔を深く俯けて、そう早口で言ってその場から逃げ出そうとした。
だけどそんなわたしの腕をいとも簡単に掴んだ相手が、わたしを逃がすまいと腕に力を入れる。
……っ!!
「もー、そんなすぐに逃げようとしなくていいじゃん?」
愉しげな声音にわたしの心臓が早鐘を打つ。
「悠斗、あんま虐めんなって。この子ビビってんじゃん」
「うわ、君めっちゃ可愛いね。名前はなんていうの? てかどこから来たの?」
次第に今の状況を理解し始めたわたしの目が捉えたのは、ぶつかった一人の男だけ───ではなく、もう二人の男の姿。
ピアスを開け、派手な髪色をしている治安の悪そうな大の男三人に詰め寄られて、わたしはまさに蛇に睨まれた蛙状態。
動けない。声が出ない。全身が冷たくなって、恐怖から体が震える。
「………ねえ君、そんなに怯えているけど、本当に夜の人間かな」
リングの光る左手をそっとわたしの頬に添えたリーダー格の男が、感情の読めない瞳でそう尋ねた。
その質問に、わたしの心臓がドクンッと一際大きな音を立てる。そんなわたしの反応に図星だったことが分かったのか、目の前の男が不気味に笑った。



