そう思って、テレビをつけた。
それから1時間、2時間……3時間が経っても麗仁くんは帰ってこなかった。
つい1時間ほど前に送ったラインは未読のままだ。
「はあーあ。暇だー」
1人きりの部屋には、ろくに頭に入ってこなくなったアニメが惰性で流れている。わたしはソファに深く腰掛けて、天井を見上げた。
麗仁くんに会いたい。
そんな想いが胸をいっぱいにする。
もういっそのこと、わたしから会いに行ってしまおうか───。
だけどそれは、無理な話だ。
太陽はもうすでに傾き、空が夕闇に染まりつつある。
夏の夜は空が暗くなるのが遅いと言っても、この東ノ街では午後6時からの外出は許されない。
外に出るのは、とても危険だからだ。夜の街は月が昇った途端、一瞬にして闇社会へと姿を化す。
バイクのエンジン音、喧嘩の騒音、そして稀に聞こえる重い銃声。───この街は、安全ではない。
カーテンから差す夕日は消え、代わりに夜の闇が窓の縁をあやしげに漂う。
【麗仁くん、お仕事は順調?
あんまり無理しないでね。
麗仁くんの帰りを待ってます】
ラインのアイコンをタップして、麗仁くんとのトーク画面を開く。そのメッセージの横には、まだ【既読】の文字はない。



