わたし、何か麗仁くんが恥ずかしがるようなこと言ったかな?
目の前でうなだれる麗仁くんを不思議な目をして見つめ、首を傾げて考えてはみるけど、分からない。
わたしはまだ、麗仁くんが何に怒って、何に喜んで、何に悲しむのか、深くは知らない。だから当然、どんなことに恥ずかしがるのかも知らなかった。
これはもしかしたら、麗仁君のことを知れるチャンスなのかも……?
わたしは麗仁くんに恐る恐る言葉をかけた。
「麗仁くんは……、その、どうして顔を赤くしてるの?」
わたしにそう質問された麗仁くんは、言葉を詰まらせて気まずそうに目を逸らす。
わたしが興味本位で訊いたその質問は、予想以上に麗仁くんを困らせてしまったらしい。
「……、はあ」
麗仁くんの綺麗な目がわたしを映し、呆れ気味に長い睫毛が伏せられる。
わたしは麗仁くんが答えてくれるまでじっとして待っていたけれど、突然目の前が暗くなって、微かに目を見開いた。
「麗仁、くん……?」
わたしの唇に麗仁くんの唇がそっと重なり、甘い余韻を残してその端正な顔が遠ざかっていく。
わたしは気づけば息を止め、麗仁くんから目を離せないでいた。



