縋るように冷たい手を掴んで、切実な思いで麗仁くんを見上げる。
わたしの瞳に映る麗仁くんは、何だかとても苦しそうな、切なそうな表情をしていた。
そこで、しまった…と思う。
わたしの今の発言が、麗仁くんのプライドを傷つけた。
「り、麗仁く……「───そうだよね」
「こんな一言であやちゃんを不安にさせちゃうとか、おれって情けないね……」
わたしを抱きしめる麗仁くんの腕の力が強まる。
「ち、違うの……っそういうつもりで言ったんじゃないんだよ、……」
わたしの首筋に顔を埋める麗仁くんの頭を優しく撫でながら、元気づけようとするけど。
「……おれ、あやちゃんが合コンに行くって知った時、すごい大人げない対応した」
「……?」
「あんなちっちゃなことで嫉妬して……、今だってあやちゃんのことが心配すぎてここまで走って来たんだ」
……、え?
ここまで、走って……?
麗仁くんが普段住んでいる皇神居と、娯楽施設が建ち並ぶこの通りまでは結構な距離があるのに。
「どうして……っ、? 仁科さんとかは…」
「真人はシゴト中。1日中おれの側に付いてられるってワケじゃない」
今だって自分のことばかり責めて、わたしの悪行には何も言わずにいてくれる麗仁くん。



