キキィィーーー!!
「……っ、!?」
急ブレーキ音がすぐ近くで響いたかと思えば、トラックの運転手さんの怒鳴り声が耳をつんざく。
何もかも上手くいかないことばかりで、半泣きになりかけていたところに───
「……っ、あやちゃん!!」
……彼はいつも突然、わたしの目の前に現れる。
その声を聞いただけで、涙で視界が遮られて。
麗仁くんに腕を引かれながら、一緒に横断歩道を渡り切る。トラックの運転手さんにもちゃんとごめんなさいをして……。
誰も通らない暗い路地に連れられて、わたしは麗仁くんの纏う爽やかな柑橘系の香りに包まれた。
「りと、くん……っ。どうして、」
「……っもう、本当にビックリしたんだからね。あやちゃん、周りも見ずに急に横断歩道飛び出すんだから……」
わたしの言葉を遮って、怒った口調と共に吐き出される安堵のため息。
そこには相変わらず優しさが含まれていて、もっと泣きたくなった。
「心臓が止まりかけたんだよ……」
その言葉に体中の血液がサーッと下に流れていくのを感じた。わたしが心配するようなことを言うなんて、ズルい。
「そんなこと、言わないでよ……麗仁くん」



