「麗仁くん……、わたしね。今、すごく幸せ」


そう言って、自然と笑みを浮かべた。

それは、心の奥深くから泉のように自然と湧き上がってきた。


「……っ、不意打ちは、ずるいって」


麗仁くんは顔を真っ赤にさせて、口元に手を添えた。

ここまで恥ずかしがる麗仁くんは何だか久しぶりで、わたしは嬉しくなる。


にやにやしていると、そんな顔で見るなと余裕のなさそうな麗仁くんに諌められる。


「ふふ、ごめんごめん。麗仁くんの困り顔、久しぶりに見たあ」


ふにふにと、頬を優しくつねると、麗仁くんは呆れ顔でわたしを見た。


ましゅまろみたいに柔らかい麗仁くんの頬。

色白のそれは、ちょっとやそっと外から衝撃を受けただけで、すぐに溶けて崩れてしまいそうだ。


「もう、あやちゃんってそーいうとこあるから困る」


そうは言うけど、わたしの手を止めないのは麗仁くんもわたしに頬を触られて、まんざらでもないから?


きっとそうだといいな。


───これは、文化祭の日に起きた、幸せなカップルのひんやりと甘い、ラブハプニング。