わたし、全くモテないから! と麗仁くんを安心するためにそう言ったのだけど……。
どうやらそれが裏目に出てしまったみたい。
麗仁くんの眉根がぐっと寄る。
「あやちゃん、それ以上おれの好きな子を蔑むようなこと言わないで。気分悪い」
吐き捨てるようにそう言うと、むにゅっとわたしの頬を親指と人差し指、中指で潰した麗仁くん。
だけどそれは全然痛くない。
麗仁くんは、わたしが痛がるようなことは何もしない。
怒っても暴力を振るったり、暴言を吐いたりしない。
よく、ネットを見るとDV彼氏に悩まされているという女性の悩みを見る。
それならすぐに別れればいいと思うのだけど、そう簡単にいかないらしい。
その悩みを知らないわたしは、十分幸せ者なのだと思う。
「ご、ごめんなさい麗仁くん……好きな子の、悪口いっぱい言って」
不思議だ。
自分のことを言っただけなのに、こうして自分が謝らなければいけないなんて。



