そうしたら、麗仁くんの手がわたしの涙を拭ってくれた。
泣き腫らした顔のわたしを見て、麗仁くんが笑いを零す。
だけどそれは、バカにしているような笑いじゃなくて、愛おしいという感情が含まれているように思える微笑みだった。
細められた目の奥に、薄く輝くものがある。
わたしを見つめる麗仁くんの目が、思わず目を瞑りたくなるくらいに優しい。
「あやちゃん。おれね、あやちゃんの姿を見た時、今日がおれの命日になるんじゃないかって本気で思ったの」
「え、……命日? それってどういう…」
「なんの知らせもなしにあやちゃんの可愛すぎる姿見せられて、心臓が口から飛び出しちゃいそうだったってこと!」
わたしに分かってもらえなかったのが不満だったのか、麗仁くんは頬を膨らませてそう言った。
たまに見ることのできる、麗仁くんの幼気な姿が大好きだ。



