「キスだけでこんなんになっちゃうなんて、あやちゃんはイヤラシイ女の子なんだね」
私の両頬に手を添えて、意地悪く笑った麗仁くん。
そんな表情さえ麗しく、愛おしいのだからわたしにはもうどうすることもできない。
「…っち、違うもん。わたし、いやらしくなんて……っんん、」
そう抗議しようとしたら、またしても唇を塞がれる。
形を確かめるように、丁寧に重ねられた唇は、お互いの唾液で濡れている。
「あやちゃんのメイド服姿、すごくかわいい」
キスの合間にそんな甘い言葉を吐かれるこっちの身にもなってほしい。
恥ずかしさと嬉しさで頬は最高潮の赤みに染まり、生理的な涙が頬を伝う。
よかった……麗仁くん、別にわたしがメイド役のことを教えなかったことに怒ってないんだ。
今までの不安が解消されて、安心のあまり涙はより溢れてくる。
悲しくなんてないのに涙が流れて止まらないのは、今が初めて。
「…っそ、そうなの……? ありがと、嬉しい」
涙を拭おうとした手を柔く掴まれて、ゆっくりと下に落とされる。



