わたしが何もできないでいると、麗仁くんの綺麗な顔が近づいてきた。
頬と頬が触れる距離まで近づき、わたしの耳元に口を寄せてきた麗仁くん。
──ねえ、あやちゃん。その格好、しっかり説明してもらおうか。
その囁きが合図だった。
麗仁くんはすぐさまわたしの手を掴み、後方扉に向かって歩き出す。
自然とわたしも麗仁くんに付いていく形になって、まだシフト中なのに教室を去ることになった。
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数歩先を歩く麗仁くんは、やっぱりどこか様子がおかしい。冷たいオーラが漂っている。
もしかして、わたしが嘘をついたこと、怒っているのかな……。
本当は裏係じゃないのに、裏係だと言ったわたし。
でも、それは、メイド服を着たわたしをサプライズで麗仁くんに見せたかったからだ。
それが似合う似合わないは関係なく。
「り、りとくん……っ!」
人気の少ない旧校舎の渡り廊下にたどり着いたところで、わたしは麗仁くんの腕を強く引っ張って、歩みを止めた。



