教室のあちらこちらから女子の黄色いこそこそ声が聞こえてくる。
麗仁くんも当然聞こえているはずだけど、そんなのお構いなしにわたしを一点に見つめてくるから心臓に悪い。
迷いない足取りで、1歩、また1歩と近づいて来る。
麗仁くんのために、みんなが体を引っ込ませて道を開けていく。
さっきまであんなに賑やかだった教室内は、突然現れた麗仁くんの動向を見守るべくしんと静まり返っている。
──そして、3秒後。
長い美脚を持つ麗仁くんは、わたしのすぐ目の前に立ちはだかった。
俯いていたわたしは、恐る恐る麗仁くんの顔を見上げる。
すぐにバチッと視線が交わる。
「……っ」
眉をひそめた麗仁くんと、サングラス越しに目が合う。
心なしかわたしを見つめるその瞳が冷たいような気がした。
…っなんで、どうして。
麗仁くん、なにか怒ってる……?
何か言おうと口を開いてみるも、周りには沢山の人がいる。容易に麗仁くんの名前を出せない。



