麗仁くんが普段生活する部屋には、たくさんの機能が備わっているらしい。

部屋1部屋で家1個分に相当するなんて、恐ろしいものだ。


大きなガラス張りの鏡の前に立って、麗仁くんと一緒に歯を磨く。


これって、なんていうか……



「新婚さんみたいだね」

「……!」



隣で麗仁くんが柔らかく笑っている。

鏡越しに目が合って、その漆黒の瞳がいつもより熱を帯びている気がして頬が熱くなる。


「も、もう……りとくんったら」

「ふは…っ、その反応、あやちゃんも思ってたんでしょ」


麗仁くんがわたしの脇腹を小突く。

満足げにニコニコしている麗仁くんに生ぬるい視線を送りながら、わたしはふんっと唸ってうがいをした。