「なあに」

「明日ね、学校で文化祭があるの。……わたしのクラスでメイド&執事喫茶をするんだけど、来れたりしない、かな」



その言葉を聞いて、おれは迷わず頷いた。

あやちゃんからの誘いを断るなんて選択肢はおれの中にはない。


「……行く。絶対にあやちゃんに会いに行く」

「え? 麗仁くん、大丈夫なの…」

「なんとかするよ」


だから心配しないで、と言ってあやちゃんの黒髪をそっと撫でた。


「あやちゃん、そろそろ寝よ」

「うん、そうだね」


「おやすみあやちゃん」

「おやすみ麗仁くん」


抱き合いながら、2人一緒に深い眠りに落ちた。


こんな平穏がずっと続いてほしい。

刺激なんてものは何も望まないから、せめてあやちゃんが心から笑ってくれる未来だけをおれは望んでいる。


すやすやとした寝息を立てるあやちゃんの唇にちゅっと触れる。

寝たフリだけをして、本当はあやちゃんと眠る時はいつも満足するまであやちゃんの寝顔を見つめている。


明日も明後日も、ずっと先の未来でもあやちゃんの隣に立っていられますように───。