不意に麗仁くんの視線がわたしに向く。
切れ長の瞳が、大きく見開かれていく。
「あやちゃん……」
わたしたちは互いに引き寄せられるようにして一歩、また一歩と歩みを進めた。
「麗仁くん、すごく、かっこいいです……」
無意識のうちに漏れ出た心の声に自分でも気づかないほど、わたしは完全に麗仁くんの美しい袴姿の虜になっていた。
「ありがとう。でも、あやちゃんの方こそ驚くほど綺麗だ」
麗仁くんは真剣な眼差しで、とろけるような甘い声でそう言った。わたしは高鳴る心臓をついに制御できなくなって、顔に血が集まってくるのを感じる。
麗仁くんの前に立つと、いつも動けなくなってしまう。
それはあの頃のような恐怖から来るものではなく、ただただ、その美しさに目を奪われるから。
その時、頭の奥底から、雲間をすり抜けて差す一筋の光のようなものが、わたしの脳内をフラッシュバックした。
真っ暗な地下室、幼い手、目の前から聞こえてくる、子供の頃の皇帝の声───
「……っう」
わたしは突然の頭痛に襲われ、その場に立っていられなくなった。膝から倒れるようにして崩れたわたしを麗仁くんがすかさず受け止めてくれた。



