麗仁くんの誕生日当日。
空はその日を知っていたかのように、頭上一面に澄み渡る青空が広がっていた。
「あやちゃん、おはよう」
ベッドの上で、裸のまま眠っていた麗仁くんが目をかすかに開いてそう囁いた。
大きな窓の向こうの空をぼんやりと眺めていた私は、ふいに麗仁くんに視線を向けて、昨夜の情事を思い出し、ぼっと顔から火を吹き出す。
「お、おはよう。麗仁くん」
ぎこちなさMAXのわたしに、麗仁くんはおかしそうに眉の八の字にして笑った。
「それと、お誕生日、おめでとう」
こんな何も纏っていない恥ずかしい姿で言うことではないと思ったけれど、起きてすぐに言いたかった。
「ありがとう」
誕生日がこんなに幸せだったのは、今日が初めてだ──そう言って笑う君に、わたしの心はいとも簡単に攫われるのだ。
𓆸 𓆸
朝、わたしの家まで仁科さんが麗仁くんを車でお迎えにきた。それにわたしも同乗させてもらい、皇神居の最上階にあるきらびやかなお部屋に連れてこられたわけだけれども。
「あ、あの、この着物は一体……」
目の前に並ぶ、何着もの着物。
どれも上質で高級そうで、誰のために準備されたのかなんて聞かなくても分かるけれど、とにかくわたしのような身分の者には分不相応なことだけは明白だ。



