「ごめん、あやちゃん。こんな彼氏、嫌だよね」
麗仁くんの目元に暗い影が差す。
長くてきれいなまつげは心なしか震えている。
わたしは心の奥底から浮き上がってくる何かを感じた。
「っそんなことない!」
急に大声で叫んだわたしに麗仁くんは目を見開いて瞬きを一度、二度と繰り返す。
「……あや、ちゃん?」
「麗仁くんはわたしにとって、いやな彼氏なんかじゃない。むしろ反対だよ。麗仁くんは、わたしにとってすっごく素敵で、大切で、最高な人なの」
確かに、麗仁くんからもらう愛はいつも重い。
重たくて、重たくて、いつか抱えられなくなる日がくるかもしれない。
だけど、わたしはその重さごと、麗仁くんを愛している。
麗仁くんがわたしのすべてを受け止めて、愛してくれるように、わたしも麗仁くんのすべてを愛したい。
「……っ、そんな、こと言われたら、おれ……」
わたしの瞳に映る麗仁くんは、今にも泣き出しそうな、悲しい顔をしていた。だけど、その暗い目の奥底に宿った仄かな灯火を、わたしは見逃さなかった。
「麗仁くん、聞いて。麗仁くんがわたしにとってどんな人かは、わたしが決める。だから勝手に麗仁くん自身が麗仁くんを否定しないで」
わたしは真剣な目で麗仁くんを見つめる。



