悠久の絃 2

風呂に入って髪を乾かし、そのままの足でいとの部屋に向かった。


―トントントン

「いと、入るよ」


鍵はかけられていなくて、いとはベッドの上で座っていた。


「悠……」


「うん。気持ち悪いの治まった?」


「うん。大丈夫。………お風呂、入ったの?」


「そうだよ。隣座っていい?」


「うん」



まずは、ゆっくり。
いとが話し始めるまで、慌てちゃダメだ。


って、毎回意識してるけど、教えてくれるかは別。


「……さっき、律先生に聞いたよ」


「うん?何を?」


「悠、一週間くらいお休みなんでしょ?出張、大変だったから」


「うん、そうだよ。お休みは少し長いんだ」


「………あのね、」


「うん」


「この前さ、進くんのこと、話したでしょ?」


「うん。聞いたよ。」


「それで、今日ね、」




―今日ね、この前の返事、してきたの。
進くんが私に思う「好き」と、私が進くんに思う「好き」は、違うと思うの。でも、仲良く、友達でいたいの。って。
進くん、今日はリハビリって言って帰っちゃったんだけど、そのときの顔、悲しそうで、申し訳なくて、やっぱり間違ってたのかな?私のわがままかな?





いとが悩んでいたのはこのことか。
てっきり体調が優れなくてどうやって病院から逃げようか、的なことを考えているのかと思っていた。夜星先生も心配してたし。

にしても、振ったのか。あの時から何も話さないから少し気になっていた。