悠久の絃 2

―コンコンコン

抑えられたノックが聞こえ、少しだけ身体が震える。



「ごめんね、入るよ」


「…律先生、おかえりなさい」


「ただいま。学校で疲れちゃったかな?診察だけしていい?」



起こすよ、と体を起こされて体温計が脇に差し込まれる。

「帰り遅くてごめんね。何かあったらすぐに連絡してくれていいから」


「うん、熱はないね。少し音聴くから深呼吸して」


「はい、じゃあ首触るね。カテ入れたところ痛くない?そっか、じゃあ大丈夫。もう終わりね。寝ていいよ」



たぶん、時間にして5分もかかってない。


眠過ぎて頭が働いていないのかなぁと自分でもわかる。
だって、目の前にいるのは律先生のはずなのに、時々悠がいるように見える。

二人が似てるからかな。


「律先生、」


「うん?」


「悠は、いつ帰ってきますか?」


「悠もそろそろ帰ってくるよ。あと2日3日でね」




そうなんだ。悠、どこにいるんだろう。

出張とかなのかな?面白いお土産話あるかな?

もう帰ってくるんだ。やっと会える。


「悠の話をすると笑顔になるんだね。大丈夫。今日は疲れたんでしょ?寝なさい」



おやすみ、と電気を消して律先生は部屋を出ていった。

「おやすみなさい」

誰にも届いていないけど、それでいい。