〜悠side〜


―――あ〜、そう。そこの資料そのまま入れて。ごめん、一回行くね。終わったら帰っていいよ。


研修医は返事をして作業に集中し始めた。



「すみません!遅れました!」


夜星「いいよ。さ、座って」


鶴川「悠先生これ見てね、」



鶴川先生が前に出したのはいとの腟内エコー画像。

炎症は無くなって、今は痛みもなく病室で眠っているらしい。


よかった。まずはこれで一安心だ。



鶴川「そろそろお家で排出処置してもいいかなとは思うけど、この後心臓のこともあるし絃ちゃんには言わなかったよ。
だけど、考え始めていいと思う、悠先生。」



「そうですよね……だけど、僕がやってもいいのかな…」



夜星「採血の結果とかは健診ごとに鶴川先生に共有するよ。だからお家で上手くできなくても大丈夫。
まあ今どきの子はマスターベーションする子少ないみたいだしね。特に女の子は。」



鶴川「そう。だからといって悠先生が無理することでもないから、僕もいるし。そこは絃ちゃんの気持ちも汲みながらやっていきましょう」



夜星「悠先生とアメリカに行くまでに慣れてくれてれば万々歳だし、日本にいる間は鶴川先生に任せてもいい。まあ、やるにしても2ヶ月後に生理が来なかったらだから。焦らないでいいよ」



「はい、ありがとうございます。僕もできる限りでやってみます。
あ、あとホルター明後日ですよね?」



夜星「そう。明後日ホルターやって、心エコー見て、結果合わせてアブレーションだね。今のところは順調に進んでるし、執刀も俺がするから。」




夜星先生が執刀医なら何の心配もない。

安心していとの心臓を任せられる。


だけど、本当に心配なのは僕自身の体。
限界が近いのかもしれない。あと少しで今の研修医も別の科に行く。それまでどうか、耐えて欲しい。


夜星先生、鶴川先生と別れたあとの静かな階段の踊り場、「カシュッ」と聞きなれた音が響いた。


あと少し。