椅子が戻されて、早くこの場から立ち去りたかったのにいざ立とうとしても足が震えて立てない。

力が入らなくて、立とうとしても、膝から折れてしまった。



「ありゃ、立てなくなっちゃったか。ごめんね。ベッドの方座ろうか」

鶴川先生の動きがスムーズすぎて、気づけば抱き上げられてベッドの上に乗せられていた。


「絃ちゃん、すごいね。よく頑張ったよ。お腹の炎症は綺麗に治ってた。」


「治ってた?じゃあ、もう検査終わり?」


「うん、終わりだよ。夜星先生呼んでくるからここで休んでてね」



そう言うと鶴川先生は電話をしに診察室を出ていった。


つかれた。少しだけ。少しだけ寝たい。



目を瞑ると、思いのほかすぐに意識は飛んで行った。