悠久の絃 2

そのあと、何度か発作が起きかけたけどなんとか落ち着いて眠くなってきた。



「眠い?寝ていいよ。またあとでお話しよう」



瀬堂先生の声は柔らかくて、優しくて。

この声、ずっと前にも聞いたな、なんて思っても、睡魔に負けて寝てしまった。






「やっぱり、手を中に入れたのがダメだったんでしょうか」


「いや、今回は違うと思うよ。モニター見てたんだけど、不整脈だった。
お腹の次は心臓か。絃ちゃんも樹たちも休まらないねぇ」


「カテーテル、ですよね。今の状態でできるかは置いといても、今後も頻度が増えそうですし」


「とりあえず樹に相談しとく。絃ちゃん、抗生剤の服薬も渋り出したってこのちゃんも言ってたし、あまり刺激したくないのはみんなと一緒。」




嫌な雰囲気が、じわじわと、嫌な風に広がっている。


本人も終わりが分からないから怖いのか。それとも自分がどんな状況か分かっていないのか。

どちらにせよ、なにが起こるか皆目見当もつかない。


「ちょっと、やばいかもね」


苦笑いを浮かべながら歩く瀬堂先生に付いて行きながら、俺も静かに頷いた。