悠久の絃 2

〜絃side〜



コンコンコン


丁寧なノック。その後に聞こえた「入るね〜」

この声色は、夜星先生だ。



「びっくりした?俺は来ないって思ってたでしょ。
でも残念、嫌われるのは慣れてるからさ。」



自虐、なのかな。

笑えないし、なぜそんなことを言うのかわからない。



「まあ、いつも通りの診察はさせてね」


ステートを耳にかけて、手のひらで温められたダイヤフラムが迫ってくる。


待って、これ、服上げなきゃだめかな、

やだ、怖い。


たぶん聴診だけなのに、肌を見せたらお腹を触られるような気がして、それが痛くなるような気がして。


「絃ちゃん?服上げて」


「っ、、やっ、やだ、、触らないで」


「触らないよ。もしもしするだけ」



そう、だよね。聴くだけだよね。


そう思っているのに、ピタッと触れた瞬間、



ビクッっ!!



「大丈夫。ゆっくり深呼吸してね」




「うん、頑張ったね。もう少しだから」


目の下や首筋、傷だらけの腕を触診してようやく診察が終わった。



「お腹の話なんだけど、まだ中は炎症が起きてるんだ。
だから、今日から一週間お薬出すから夜ご飯を食べた後に飲んでね」


最後の最後にそう言って、夜星先生はやっと病室を出て行った。