──あれから四年が経った今、私は想像をはるかに超えた幸せに包まれている。
洗い物をしているキッチンには三人分の食器、そこから見えるリビングには家族皆で飾りつけたクリスマスツリーがある。
洗い物を終えた時、娘のいろはを寝かしつけて慧さんがリビングに戻ってきた。彼は私の首元にきらめく涙型の宝石に気づき、〝おっ〟という顔をする。
「そのネックレス、懐かしいな」
「うん。久しぶりに見たらつけたくなっちゃって」
先ほど、いろはがチェストの引き出しから見つけてきたのだ。彼女は自分のおもちゃのネックレスのほうが素敵だと思ったみたいで、可愛くて笑ってしまったが。
慧さんは懐かしそうな目をして苦笑を浮かべる。
「これを買った時、瀬在を連れ回してアドバイスをもらってたんだ。最終的に自分の直感で決めたけど」
瀬在さんが『僕、必要でした?』と呆れ顔をしていたという話を聞いて、私は若干ギクリとする。盛大に勘違いしていたから。
「正直に言うと、当時は瀬在さんが選んだものだと思ってたの。社員の子が、瀬在さんが買ってるのを見たって話してたから」
「いや、ちゃんと俺が選んだよ。その子たちが見たのは、たまたま俺がその場を離れてた時だったんじゃないか」



