紅くんの家にお泊まりしてからというもの、お母さんが家に帰ってこない日は紅くんの家に泊まるのが当たり前になっていった。

 私専用の物が紅くんの家に増えていく度に、ここが私の居場所だと再認識できて嬉しい。

 夏休みの間もほとんど紅くんの家で過ごした。

 めんどくさい読書感想文も絵の宿題も紅くんが手伝ってくれたから早く終わらせることができた。

 それに紅くんの誕生日会もした。

 紅くんの誕生日は8月16日。

 紅くんは熱血系よりクール系だから、誕生日が夏にあるのはちょっと意外だった。

 誕生日プレゼントは、お母さんが食費としてくれるお金を少しずつ貯めて買ったハンカチをあげた。

 あと、これはちょっとした変化かもしれないけど、紅くんがよくお膝に乗せてくれるようになった。

 紅くんのお膝に乗ると、守られてるような感じがして安心する。

 それでそのまま寝てしまうこともよくあった。

 この安心感は、クラスの子や先生が話す、父性に似ていた。

 それを本人に直接言うと「お兄さんの方が嬉しいかな」と言われた。