黒峰くん、独占禁止。

 彼……黒峰夜風(くろみねよかぜ)君は、それはそれはべったりくっついてくるのだ。

 理由は『私のことが大好きだから。』らしいけど。

 私は全然、納得していない。

 信じられないってのもあるし、からかってるんだろうなって思ってる節もあるから。

 黒峰君は大人気の男の子だ。同級生からも、先輩からも、後輩からもモテまくる。

 顔が良いってのももちろんだと思うし、少しダークな雰囲気があるらしいから、大体の女の子はそこに惹かれるっぽい。

 それがあるからだ、私が信じられないのは。

 きっと黒峰君は、いろんな女の子をたぶらかしている。

 悪い噂は全く聞かないけど……そうじゃなきゃ、納得できないところがある。

「な、おはようのぎゅーさせろ。」

「え、ちょ……っ! く、黒峰君!」

「はー、やっぱ春宮好きだわ。癒しだ、癒し。」

「へ、変な事言わないで……! は、離してよっ……!」

「嫌だ。」

 こ、困るよそれ……!

 どうして、何故に抱き着いてくるんだこの人はっ……。

「ダメだって、言ったのに……。」