黒峰くん、独占禁止。

　今更何をどう思ったって、現実は変わらない。

　考えるだけ無駄だ。やめよう、余計な事を思うのは。

　……なんて、理解したと同時に。

「…………あの、黒峰君。」

「どうした？」

「……何で、さっき……ちゅー、みたいなの……」

「クリームが付いてたからだが？」

　いや、それは私も分かってるんだけど。

　さっきの出来事が二拍くらい遅れて思い出されて、かぁぁっと顔が熱くなる。

　……黒峰君って、平気でこーゆー事してくるから困る。

　そう思ってもいいのかな、って思っちゃう。

　きっと私は黒峰君に弄ばれてるだけなのに、本気にしてもいいのかなって……思っちゃう。

　ずるい、というか罪な男の子……。

　そんな彼に振り回されてる私も私だけど。

　……やっぱり、ずるいや。

「ばか。」

　小声で言ったその言葉はどうやら聞こえていないようで、返答はない。

　それでも言いたかっただけだから、ちょっとだけすっきりした。

　そういえば、これからガチャ専門店に行くんだよね……楽しみ。