黒峰くん、独占禁止。

 誰にだって、聞かれたくない事の一つや二つあるし。

 私にだってあるし。

 黒峰君にもあるはずだから、あっちから切り出さない限りは何も言えない。

 もちろん、気になりはするけど……私じゃ、踏み込んじゃいけないような気がした。



 お店から出た時、視界に一番に入ったのはオレンジに染まっていく空だった。

 烏がどこからか鳴いているのが聞こえて、思ったよりも時間が経っていたんだな……と気付く。

 そんな中私は、黒峰君と肩を並べてガチャ専門店までの道を歩いていた。

 あの店員さんから渡された、レモンのクレープを頬張りながら。

「ん、これ美味しい……。」

 思わず言葉が零れ、口元を手で押さえる。

 レモンのクレープなんて初めて食べたけど、程よい酸味が私好みだった。

 実を言うと抹茶のクレープも気になっていた。

 ……でもどうやら、すでに材料がなくなってしまっていたらしくちょうど買えなかったのだ。

「悪いな、抹茶のやつがあると思って連れて行ったのに、ちょうど切れてたなんて。」