黒峰くん、独占禁止。

「だって君ら、幼馴染でしょ? 唯くん最近見てないし、ちょっと心配でさ~。」

 その時、黒峰君と店員さんの会話が気になった。

 小さな声で話しているようだけど、私にはバッチリ聞こえた。

「唯都のことは、もう知らねーよ。」

 ……っ。

 ぞわっとした。

 初めて聞いた、黒峰君の声。

 氷のように冷たくて、刃みたいに鋭くて、いつもの黒峰君らしくない……心底嫌そうな声だった。

 しかも、“唯都”って……古夜君の、こと?

 分かんない。もしかしたら、別の唯都さんかもしれない。

 ……でも、もしも。

 もしも黒峰君と古夜君に接点があるのなら、一体何でそんなに怖い声を出すの?

 何が、あったんだろう……。

「春宮?」

「っ、な、何っ?」

「どうした? 顔色が悪いぞ? 座るか?」

「う、ううん、大丈夫……。」

 気のせい、なのかな。

 今の、私の目の前にいる黒峰君は、いつも通りの黒峰君だ。

 さっきの冷たさの欠片もない、いたって普通の。

 ……ここは、きっと触れないほうが良い。