黒峰くん、独占禁止。

《まぁダメって言っても行くけど。》

「えぇっ……!? 来なくていいって……!」

《……余計行きたくなったわ。》

 何で!?

 拒否の言葉を聞いて、「よし行こう!」とは普通ならないからっ!

 でも彼の声色からして、本気で私のところに来るんだろうなと察してしまう。

 だから、せめて。

「来るなら……裏庭、来て。」

 他の人に見られたくない。

 そんな一心で、私は電話越しの彼にそう伝えた。



 それから約10分後、彼はちゃんと裏庭に来た。

 正直、来なくていいって思ってたから……複雑な気分以外の何物でもない。

「なぁ、春宮。」

「……何?」

「何でこんな、距離取ってんの?」

 純粋な彼の疑問に、私は頭を抱えたくなった。

 そんなの……分かってるくせに、意地悪だ。

「黒峰君が、いつもいつも私にべったりくっついてくるから……! だから、ダメだよ!」

「へぇ……。何でくっついちゃダメなの?」

 う……それ、は……。

 だ、だって……っ。

「く、黒峰君が……黒峰君が、暇があれば私にくっつこうとしてきて、困るから……!」