黒峰くん、独占禁止。

 ダメだ、ダメだ。ここははっきり断らなきゃ。

 ふわりと、脳裏に嶺緒君が浮かんでくる。

 そうだよ、嶺緒君がいるんだよ。私はどうせ、最終的には黒峰君から離れなくちゃならない。

 この際だから、ちゃんと言おう。

「気持ちは嬉しいよ。だけど……やっぱり、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」

「だが――」

「前、私言ったはずだよ。独占禁止だ、って。ほんとはね、あんまり関わらないでほしいんだ。」

 こうやって伝えるのは酷だと分かっている。

 自分でも、どれだけ最低な事を言っているか痛いくらいに理解できる。

 心配してくれたのに、ごめんね。

 きっと私は、黒峰君の気持ちに答えられないから。

「流石にそろそろ戻るよ。一限始まっちゃうし、黒峰君も早めに教室戻ったほうが――」

「新しく、駅前にクレープ屋ができたんだってな。」

「……、……。」

 すー、はー……。

 うん、惑わされない。クレープなんかじゃ、揺るがないぞ私は。

 自分に喝を入れて、屋上から出ようと扉に手をかける。