黒峰くん、独占禁止。

 またもやぎゅっと強く抱きしめられて、今度は窒息しちゃいそうだった。

 だけどそれが、心地いいだなんて。

 もう少し、このままでいたいだなんて。

 そう思っちゃダメなのに、心の中はそんな気持ちでいっぱいだった。

 私には……嶺緒君がいるのに。



「よし春宮、放課後お詫びをさせてくれ。」

「えっ、何の?」

「決まってるだろ。お前を守れなかったからだ。」

 あれから十数分、完全にホームルーム開始のチャイムが鳴った後。

 教室に帰らなきゃと分かってはいたけども、黒峰君が異常なまでに離してくれなかったから結局そのまま。

 もう致し方ない、光莉ちゃんにはメールを入れておこう。

 サボりなんて初めてしたから、罪悪感が半端ない。

 そんな中黒峰君は、真面目な表情と声色でそう切り出してきたのだ。

「き、気にしないでよっ、そんな。黒峰君が悪いわけじゃないって、さっきも言ったよね?」

「俺の気が済まないんだ。頼む、俺を救うと思って。」

「う……。」

 どうしよう、独占禁止宣言した後のほうが黒峰君と関わる頻度高くなってない……?