黒峰くん、独占禁止。

 ……私は多分、黒峰君に迷惑をかけちゃってるから。



 白布武高校、屋上。

 独占禁止宣言をするまで、私と黒峰君はよくここに来ていた。

 最近はめっきり来なかったから、屋上に足を踏み入れた瞬間複雑な懐かしさが込み上げてくる。

 ここでよく日向ぼっこしてたっけ……。

 なんて考えつつ、視線の先に風に吹かれる黒髪を見つける。

 やっぱり、いた。

 ここにいなかったらどうしようかと思っていたけど、杞憂だったらしい。

「黒峰、くん。」

 ゆっくりと、彼の名前を呼ぶ。

 私の声に彼はゆらりと振り返って私を視界に移すと、その場に勢いよく立ち上がった。

「春宮……。」

「うん、春宮です。」

「……どうして、来てくれた。」

「黒峰君が私を探してるって友達から教えてもらったから。……私に何か、用事だったの?」

「っ……。」

 ……わっ!

 今にも泣きそうな黒峰君。そんな表情が見えたと分かった瞬間、ぎゅうっと彼に抱き着かれた。

「ごめん、ごめん春宮……っ。」

「な、何が? 何がごめんなの?」