黒峰くん、独占禁止。

「うんっ。気を付けてねっ!」

 光莉ちゃんにお礼を伝えて、足早に黒峰君の居そうな場所へと向かう。

 いくらか候補はあるけど……黒峰君なら、きっとあそこに。

 そう思った直後。

「あれ、ももちゃんじゃーん!」

「っ!」

 背後、というよりかはちょっと遠くでそんな声が聞こえた。

 ここで無視しようものなら、私はお仕置きされる。

 ……というよりも、逆らえない。

 体が勝手に動いて、視界に彼を捉える。

 嶺緒、くん……。

「最近ももちゃんと会えなかったから、すっごく嬉しいな~。ねぇ、ちょっとお話しようよ?」

 顔はニコニコ笑顔、人畜無害そうだけど……私には分かる。

 目が、笑ってない。

 この時、嶺緒君は確定で……怒っている。

 私があまり嶺緒君と話せれていない事にか、別の事にかは全く分からないけど。

 今は、ダメだ。私、黒峰君と話さなきゃ。

 直感でそう思った私は、一歩後ずさる。

「ご、ごめん嶺緒君っ……私、用事があって……」

「何の~?」

「そ、れは……っ」