黒峰くん、独占禁止。

「わたし、今日初めて黒峰君と話したんだけどね……すっごくびっくりしたよ。」

「びっくり? 何で?」

 初めて話した……ってのもちょっと気になったけども、その先の言葉のほうがもっと気になる。

 だから追及すると光莉ちゃんは、クスッと可愛らしく微笑んだ。

「だってね黒峰君、『春宮はいないのか!?』って凄い形相で教室に入ってきたと思ったら、わたしに桃香ちゃんの居場所を聞いてきたんだよ。それでまだ来てないよって答えたら、目にもとまらぬ速さっていうのかな……とにかくすぐにどこか行っちゃって。あんなに一生懸命に探してるのって、よっぽどの事があったんじゃないかって思って。」

「……そ、う……なんだ。」

「だから、一回話してきたらどうかな? まだホームルームまで時間はあるわけだし。」

 ね?と言う光莉ちゃんに、大人しくこくんと頷いた私。

 変だと思ったもん。黒峰君がそんな、私を探す為だけに急いでただなんて。

 理由を聞きたいし、光莉ちゃんの言ってくれる通りにしよう。

「ありがとう光莉ちゃん。私行ってくる!」