黒峰くん、独占禁止。

「古夜君、送ってくれてありがと。でも、光莉ちゃんに変な事したら許さないからね!」

「分かってるって。」

「絶対だよ!」

「はいはい。」

 車を降りて、念を押すようにそう言う。

 多分、大丈夫だとは思うけど一応……!

「それじゃあ、またね。」

「あ、ちょい待ち。」

 へ? 呼び止められた?

 不意に言われた言葉に驚きながらも、古夜君を見据える。

 すると彼は、ごく普通だと言うように……こう言葉にした。

「あんたのことも思い出したわ、春宮桃香。お前、嶺緒の拾われ子だろ。」

 …………――え?

 何で、知って……っ。

 それは嶺緒君しか、知らないはずじゃ……。

「俺も、あんたと一緒であいつの拾われ子だから分かるけど……嶺緒を好きになんなよ。あいつは、信じたくねーほどの悪魔だ。」

 じゃーな、と言いたい事は言ったというように車に乗り込んだ古夜君。

 私は……しばらくその場で呆然としてしまっていた。

 古夜君って……私と一緒で、“拾われ子”?