黒峰くん、独占禁止。

「お、おおお、おはよう、ございます……?」

 光莉ちゃんを起こそうと古夜君は、少し雑に光莉ちゃんの頭を撫でる。

 ……その時に私は、あれっ?と違和感を覚えた。

 古夜君の目……優しい?

 私と話していた時とは違う柔らかい眼差しに、一つの可能性がピコーンと浮かび上がる。

 古夜君ってもしかして、光莉ちゃんのこと……。

「と、とと、桃香ちゃん……! このすっごい車、それに唯都様がどうして目の前に……っ!?」

「い、一旦落ち着こ? 光莉ちゃん、ね?」

「……そ、そうだよね。お、落ち着くよわたし……!」

 そういえば、すっかり頭から抜け落ちていた。

 この車……俗に言うリムジンっていうやつだ……。

 運転席と後部座席の距離が大きいし、黒塗りだし……。

 古夜君はお金持ち、なのかもしれない。

「ん、あんたの家着いたっぽい。」

 そこまで考えたところで、古夜君がそう口にした。

 あ、そっか。私の家、光莉ちゃんよりも近いから……。

 思ったより早かったなぁと思いながら、スクールバッグを引き寄せて運転手さんにお礼を伝える。