黒峰くん、独占禁止。

「だから、さっき見た時小咲ちゃんだって一瞬分かんなかった。まぁ元々可愛い顔してたし、高校デビューしててもおかしくないか。」

「……それで古夜君は、光莉ちゃんにどう助けられたの?」

「俺は、この子に生きる意味を教えてもらったんだ。」

 生きる、意味?

 あまりにも漠然としている言葉で、首を傾げてしまう。

 古夜君はそれを分かっていたように、暗い車窓に視線を移した。

「勉強なんかして何になる、集団行動で協調性なんて養われない。俺はいつもそう難癖付けて、毎日をだるく生きてた。生きる事に、学校生活を送る事に意味なんてないって思ってからね。」

 当時を思い出しているのか、静かに目を伏せた古夜君。

 月光が差しこんできて、古夜君のシルエットを映し出す。

 改めて見ると本当に古夜君はスタイルが良くって、これはどの子でもキャーキャー言うわ……と思った。

「そんな俺に小咲ちゃんは、監視係になったから~って言って、しつこくいろいろ教えてくれた。」

「いろいろ?」

「そーそー。例えばだけど、何で勉強なんかするの?って聞いたら『いずれ自分に好きな何かができて、知りたいと思うようになった時にある程度の知識は必要でしょ? だから勉強するんだよ!』って。確かになーって思ったけど、ちょっとアホっぽい説明だったから笑っちゃったんだよね。」