黒峰くん、独占禁止。

 自分自身にそう言い聞かせ、喝を入れる。

 でもそれとは裏腹に足まですくんでしまって、ついには抵抗する腕の力さえなくなってしまいかける。

「離してください……っ!」

 光莉ちゃんも必死に抵抗しているけど、もう半泣きだ。

 どうし、よう……っ。

 焦っても良い案は生まれない。そう分かってるのに、焦りまくって。

「なー、お前らこんなとこで女の子泣かせて……ばっかじゃねーの。」

 そんな時に聞こえた、初めて聞く低い声。

 誰だろう……と思う暇もなく、私の腕を掴んでいた手は離れていく。

 光莉ちゃんも解放されたようで、すぐに光莉ちゃんを抱き寄せる。

 さっき私たちを一声で助けてくれた人は、男子生徒たちの目の前に行くと。

「女の子泣かす男って碌な奴いねーよな。ヤる事ばっか考えてどいつもこいつもクズだよなー。……お前らみたいに。」

「「「ひぃぃぃっっっ……!!!!!」」」

 長身で茶髪で、なんだかダルそうな雰囲気を纏っている彼は、煽るようにそんな言葉を口にする。

 そ、そんなに煽ったら喧嘩に……!と心配になったけど、どうやらその心配は無用で。