黒峰くん、独占禁止。

 やめたほうが、いいよね。いつまでもこんな態度は。

 いくら完全には突き放せないからって言い訳ばっかりして、全力で突き放さないのは……卑怯かもしれない。

 私は卑怯な人間なのかもしれない。

 必要なプリントは黒峰君と会う前に回収したし、後は帰るだけ。

 スクールバッグを抱えて、黒峰君に背中を向ける。

「どーして来たんだ、俺のとこに。」

「……行くつもりはなかったよ。ただ、誰かの苦しそうな声が聞こえた、から。」

「相変わらず優しーな、春宮は。」

「っ、バイバイっ……!」

 黒峰君はいつも、私のことを優しいって言う。

 言われるほど私は優しい人間じゃないのに。優しくなんてないのに。

 黒峰君といると、調子が狂う。

 これ以上はダメだという気持ちと、光莉ちゃんを待たせてしまっているという焦りで、投げるようにそう言った私は走り出した。



 流石の黒峰君も追ってはこないようで、昇降口近くで走るのをやめる。

 だけども光莉ちゃんに申し訳なさが凄い事になっているから、急いで向かった。