……プルルルッ、プルルルッ

 春だといえど、朝はまだ肌寒い。

 そんな中私は静かな教室の中、ぼんやりしていた。

 でもその静寂を破るように、さっきから着信を告げる音が鳴り響いている。

 5分以上は鳴り続けているんじゃないかと思って出ようとしかけるけど、ここで出てしまってはダメだと言い聞かせる。

 相手はお決まりの彼だから、ここで出たら意味がない。

 ……プルルルッ、プルルルッ

「……どうしたものか。」

 一度止まったと思えば、また鳴り続ける電話。

 う、うーん……。

 出るも出ないも私の自由。だから、無視するに越した事はないんだけど……。

「出たほうが、静かになるよね……。」

 今は誰もいないからいいんだけど、このままじゃ迷惑になる。

 というかこんなに電話かけてきて、よく飽きないなぁと逆に感心してしまう。

 わたしだったら留守電入れるだろうから、相当電話に出てほしいんだろう……と容易に想像できてしまうのだ。

 言ったのにな……こーゆー事、禁止だって。

 “黒峰くん”……どれだけ私に執着してるの?