黒峰くん、独占禁止。

「……。」

「お、春宮! 会いたかったっ……だが、ここは危ないぞ? どうしてこんなところに来たんだ?」

 どうやら、目の前の彼は“これ”が普通の光景だと思っているらしい。

 黒峰君……どうしてこんな状況を目の前にして、そんな平然としてられるの?

 ……なんて尋ねるのは、愚問中の愚問だ。

 理由は単純。

「……ねぇ、“また”喧嘩したの?」

「喧嘩じゃないぞ、これは。躾だ。」

「何の……?」

 目の前の光景……とは、私の前に立つ黒峰君の後ろの事。

 そこには、殴られたのか蹴られたのかは分からないけど、そこかしこにぐったりしている男子生徒が数人いた。

 私の質問を否定しなかった、という事は……この状況はやっぱり黒峰君が引き起こしたものらしい。

 ……白布武高って、いつから不良校になったの?

「この前、喧嘩はもうしないでって言ったよね? 何でまた……。」

「あっちから喧嘩吹っかけてきたんだ。俺は悪くねぇ。」

「それでも……! 喧嘩なんて危ないよ……。」

 先々週くらいにも「やめて!」とは伝えたんだけど、彼は忘れているのかこうしてまた喧嘩を起こしてしまっている。