黒峰くん、独占禁止。

 私はそう信じてやまないでいる。

 そうでも考えなきゃ、納得がいかないもん。こーんなに可愛い子が私の友達でいてくれるだなんて。

「かっこいい……。」

 私に許可を取った光莉ちゃんは、ワークそっちのけで古夜君に熱視線を向けている。

 ……正直、ちょっとだけ羨ましいと思ってしまった。

 光莉ちゃんみたいに、誰かに夢中になった事なんて私には一度もない。

 好きな人を見てるだけで幸せになれる恋なんか、した事がない。

 自分から誰かを好きになった事なんて……ない。

 手つかずのワークにシャーペンを走らせながら、ふぅ……と息を吐く。

 その流れで光莉ちゃんのようにグラウンドへと目を向ける、と。

《も、も、ちゃ、ん》

 そう口パクして微笑む、嶺緒君の姿が視界に入った。

 ……あぁそっか、古夜君がいるんだから嶺緒君も当然いるよね。

 あの二人は同じクラスだから、ごくごく普通の事だ。

《ど、う、し、た、の?》

 少し考えた後、私も口パクでそう返す。

 すると瞬時に読み取ったのか、クスリと笑顔を見せた嶺緒君は。