初めてこうやって、気持ちが吐き出せた。

 きっと相手が嶺緒君だったら、こんなにもすぐに相談できなかったと思う。

 ビクビク怯えて、素直な気持ちが言えなかったと思う。

 だから本当に……感謝だ。

《そうか。……ところで、俺のことは好きになったか?》

「……同級生としてね。」

 この流れでそう言えるの、ナルシストみたいだよ。

 そう言いかけたけど、今日は迷惑かけてしまったからやめた。

 話を聞いてもらったのに、いちいちケチ付けるのはどうかと思うし。

 だからサラッと流す事にして、今日の通話を切り上げよう。

「それじゃあ、そろそろ切らなきゃだから……バイバイ、黒峰君。」

《あぁ、あったかくして寝ろよ。》

「ふふ、うん。分かった。」

 黒峰君、お母さんみたい。

 ふっとそう考えて、今度こそ通話を切ろうとしたその時。

《春宮、迷惑とか考えんなよ。》

「え……。」

 黒峰君はそれだけ告げると、すぐに通話を切ってしまった。

 私はというと……驚く暇も与えられず、何が起こったかを一拍遅れて気付いた。